教育分析とは、元来精神分析家になるための精神分析トレーニングにおいて、自ら訓練生として患者を分析するとともに、経験のある分析家(訓練分析家)に受ける分析を指す言葉である。
厳密にはそうであるが、カウンセラーやセラピストになりたい人や、そのためのトレーニングを受けている人が受けるカウンセリング・セラピーも「教育分析的」であると言えるだろう。自らの生い立ちや対人関係、コミュニケーション、性格などを振り返ることにより、より効果的に他人を援助できるようになることが考えられる。
精神分析トレーニングは長期かかるものだが(通常4、5年くらいから)、アメリカの大学院などでは、臨床心理士・カウンセリング心理士(clinical/counseling psychologist)になろうとする学生に短期の教育分析を課している場合も少なくない。その場合は、一般的な短期療法の期間とされる、4、5ヶ月くらい(回数にして、16回から20回程度)であることが多いように思われる。こうした短期の経験により、カウンセラー志望者はカウンセリングを始めるに当たっての不安、自己理解や転移などが深まる感覚、終結に当たっての不安や難しさなどをある程度体験できることになる。言うまでもなく、より深い理解や変化のためには4、5ヶ月では不十分なことが多く、2~3年くらいの経験があった方が、心理療法のプロセスをより詳細に体験することができるだろう。